2011年12月17日

滅亡する王朝の少年皇帝の最期

*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレPart22
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1312363613/909
@801板

909 風と木の名無しさん age 2011/12/05(月) 09:45:12.97 ID:22ZhPcoH0
滅亡する王朝の少年皇帝の最期


910 1/2 sage 2011/12/05(月) 14:13:41.81 ID:B/xXiwuG0
お願いします。

行儀の良い所作で頭を下げて、少年は言った。
やや窶れていながら、その表情は笑顔。
無邪気なようで、しかしどこか虚無感が漂っているように見えるのは、
大人の穿った見方であろうか。

憐れに思わないでもない、少年は傀儡でしかなかった。
しかしそれでも、犠牲は必要なのだと聞いている。
それ以上を考える事は、己の職分ではない。

誰にともなく思考を傾けながら、処刑者である男は剣を手にする。
少年は変わらず口元を柔らかく笑ませて、男を見つめている。

「何か、言い残すことは?」

定めに従って男はそう口にするが、少年は静かに首を振る。

「彼は…僕が言い残したい相手は、もうあなた方が連れていったのでしょう」

その言葉に、男は思い出す。
先日、同じく定めに従って問い、託された言葉を。

“御身の側に”

たった一言で良いと、彼は言った。


911 2/2 sage 2011/12/05(月) 14:15:05.37 ID:B/xXiwuG0
「僕も、彼の側に連れていってください。
 それだけでいいのです。それだけが、僕の望みです」

男は無言で頷くと、手にした剣を頭上へ掲げ、そうして職分を遂行した。

これで、全て。

全てが終わり…また全てが始まるのだろう。
それが新しい歩みであるのか、手垢の付いた繰り返しであるのか、
男には分からないし、興味も薄い。

人間一人、それぞれ生きて、それぞれ死ぬ。

それだけだと男は思う。

あの世など……
考えようとして、止める。
それ以上を考える事は、己の職分ではないので。

ただ、あの少年を「憐れな傀儡」としていた己の考えに
僅かな訂正を加え、男は処刑場を後にした。


posted by moge at 20:43 | Comment(8) | 801


この記事へのコメント
  1. 処刑人も含め全員に萌えたスゴイ
    Posted by at 2011年12月17日 20:53
  2. うひょーラストエンペラー良いね!!!
    Posted by at 2011年12月17日 21:50
  3. 中東あたりの衣装で想像して萌えた
    切ないけどいい……
    Posted by at 2011年12月17日 22:53
  4. 「安徳天皇漂海記」おすすめ
    Posted by at 2011年12月19日 12:47
  5. ※4
    まさかここでその名前を見るなんて!
    続編の「廃帝奇譚」もお勧め
    Posted by at 2011年12月19日 14:01
  6. なぜかヘリオガバルスが頭をよぎった
    少年皇帝ってところしか合ってないのに……
    Posted by at 2011年12月24日 01:30
  7. 溥儀しか浮かばなかった
    Posted by at 2011年12月24日 14:18
  8. ※5
    続編あるのか! ちょっと本屋行ってくる!!
    ありがとう。あの話大好きなんだ……
    Posted by at 2011年12月28日 01:31
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