2010年12月16日

いたらいたでうざいけど、いなきゃいないで寂しい

*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレPart20
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139 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2010/12/11(土) 21:15:36 ID:enzgk9V20
いたらいたでうざいけど、いなきゃいないで寂しい


140 名前:1/2[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:40:56 ID:1yu66FIm0
明日の時間、あいつまた忘れてるだろう。
電話してやろうかな。どうせ直前になって
「何時からでしたっけ……」なんて情けない声でかけてくるんだろう。

そういう甘やかしがあいつを作った、という自覚はある。
近所で幼なじみの腐れ縁、小学校の便所の世話から面倒見続けて
中高、会社も同じになって、彼女ができたら愚痴もデートも親への
挨拶まで相談に乗って、どうにか式まで持ち込んだと安心したら当日
寝坊しやがった。

なんで俺がお前を礼服着て迎えに行かにゃならん。
なんで一緒に新婦親に頭を下げんとならん。
お前の周りは俺のことをお前の世話係だと思ってる。
おかしい、と思う隙あらばこそ、もうそれが当たり前となっていた自分が恨めしい。

天才、というか紙一重なお前だから当然美智子さんはしょっちゅう怒って実家に帰る。
それを連れ戻しに行かせる、つまりお前に過ちを説いて美智子さんの剣幕を鎮めて
親御さんを取りなして……

はたしてこれは俺が世話を焼くことなのか。
それをおかしいと思わないらしい周りの人間もおかしい。


141 名前:2/2[sage] 投稿日:2010/12/12(日) 18:43:05 ID:1yu66FIm0
気づけば俺は自分の嫁さんももらわずじまい、俺の人生お前に
捧げたっていうことなのか?お前がいなければ俺も人並みの幸せつかめたのか?

なのに「浩二郎さーん、どうです、今夜」って
何事もなかったかのように晩飯誘いに来る神経がわからん。
美智子さんもニコニコ機嫌良く酌いでくれるし、まったく
夫婦の仲というものもわからんね。
可愛い嬢ちゃんと三人家族、これが幸せかと思えばなにをか呪わん。
美智子さんにも陽子ちゃんにも恨みはない。お前が元凶である。
うっとうしいことこの上ない、と腹は満ちて心は寒々と帰途につくのである。

小さかった陽子ちゃんも、近頃はいい娘さんになった。
先だって会ったときは実に綺麗になっていた。美智子さんも相変わらず綺麗だった。
喪服は女性を綺麗に見せるというね。お前にも見せたかった。

……そうだ。お前の葬式だった。

今ではかくも立派な、業界の重鎮となったお前の葬儀を俺が取り仕切ったんだった。
最後までお前に面倒かけられっぱなしだった。

俺は積年の思いを込めて、お前の悪事、お前の恥、ありとあらゆるみっともない話を
満場の列席者に暴露してやったんだ。みんな笑ってたなぁ。涙が出るほど笑ってたなぁ。

明日は四十九日、どうせお前のことだから
時間も覚えてやしないんだろうけど、もう電話はよかったんだな。
世話もかけさせないなんて、お前らしくないことだ。
甲斐がなければ、俺もどんどん呆けるばっかりだよ、なあお前。
posted by moge at 01:17 | Comment(27) | 801


この記事へのコメント
  1. あ…あれ…
    やめろよ…涙が…
    Posted by at 2010年12月16日 01:25
  2. 画面が歪んで文章が読めません
    Posted by at 2010年12月16日 01:28
  3. まさかの展開に、あれ…
    うう、つらい
    Posted by at 2010年12月16日 01:29
  4. 泣いた。短編映画にしてほしい
    Posted by at 2010年12月16日 01:41
  5. 本当にここに投下する方々は名作を生ませ過ぎ・・・
    泣けるじゃないか
    Posted by at 2010年12月16日 02:22
  6. 泣いた
    Posted by at 2010年12月16日 02:57
  7. しまった、泣いた
    Posted by at 2010年12月16日 03:27
  8. 泣いた

    なにこのクオリティ。短編なのに人生を見た。
    Posted by at 2010年12月16日 08:41
  9. 美智子さんと陽子さんのその後が気になる
    もちろん浩二郎が面倒見るんだよな?
    Posted by at 2010年12月16日 09:06
  10. なあお前ぇぇえぇぇぇえええぇぇぇ・・・!
    ぐすん
    Posted by at 2010年12月16日 12:04
  11. ちくしょう、泣いちまったぜ……。
    Posted by at 2010年12月16日 12:54
  12. これは…ガチで…泣いた…
    Posted by at 2010年12月16日 13:04
  13. 上手いなあ。美智子さん視点、または陽子さん視点の話も見てみたい。西田東の絵が似合いそうだ。
    Posted by at 2010年12月16日 14:52
  14. この短かさで人を泣かせる文才よ…!!
    Posted by at 2010年12月16日 15:25
  15. >>14同意すぎる。
    「年の差だけど陽子ちゃんとくっついちゃったぜ☆」
    なんて展開になるのか!?とあほな事考えただけにその2行下でまさかそんな…。

    こういうのって本で持っていたいよ。
    いつも名文を探して提供してくれる管理人さんに感謝。
    Posted by at 2010年12月16日 17:18
  16. この人の本が欲しい
    綺麗に削られ肉付けされた匠の文章だ
    Posted by at 2010年12月16日 18:34
  17. たったこれだけの短編で深みを感じるぜ・・・
    Posted by at 2010年12月16日 21:07
  18. なんか森見登美彦っぽい感じを受けた
    陽子ちゃんとくっつくんじゃないのかよ!

    なんか嫁さんが死んだら急速にボケてしまったおじーちゃんみたいだ
    Posted by at 2010年12月16日 21:35
  19. 萌えとかすっとばして普通に泣いた

    す げ え …!!
    Posted by at 2010年12月16日 22:11
  20. せめて冬の新刊で…
    もっと読ませてくれぇぇぇぇ
    Posted by at 2010年12月16日 23:22
  21. KAGEROUよりこっちが大賞だろ…
    Posted by at 2010年12月17日 00:40
  22. なんでかな、『お前』は、愛しい人を呼ぶ為の夫婦間の言葉だったことを思い出した。
    しかし、ティッシュが足りなんだが・・・。
    Posted by at 2010年12月17日 01:36
  23. 2ちゃんに書き込むにはもったいない名作なんだが
    Posted by at 2010年12月17日 14:10
  24. あ、あれ? ※15、18と同じで浩二郎さんと陽子ちゃんが一緒になるのかと思った・・・。

    それはともかく、浩二郎・美智子・陽子視点で、それぞれの『お前』『夫』『父』像を浮かび上がらせてほしい。
    Posted by at 2010年12月17日 21:37
  25. せ…せつなすぎる…
    Posted by at 2010年12月18日 19:11
  26. 誰のこと…?←
    Posted by at 2010年12月22日 11:26
  27. なんだ天才か・・・
    あ、いや。神か?
    目がぼやけて何も分からない
    Posted by at 2011年01月01日 23:50
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