2008年11月26日

もう一度、君に会いたい

チラシの裏@801板 百六十枚目

@801板

925 名前: 風と木の名無しさん [sage] 投稿日: 2008/11/25(火) 13:00:41 ID:yxJMInWJ0

「彼に出会ったものには幸せが訪れる? そんなの嘘っぱちだね。
 確かに僕の家族はこの旅人のおかげで救われはしたけれど、彼の去った後、
 僕の心はからっぽの虚ろ、残されたのは何とも言いようのない喪失感だけだった」

「雪の中に祈り伏す長身に、天よりの使者かと私は目を疑いました。
 勿論そんなことはなく、彼は人間でした。非常に魅力的な人間でした。
 埋もれていた黒縁眼鏡を手渡すと照れくさそうに礼を言い、

 『これを無くすわけにはいかないんだ。なんたって、僕のトレードマークだからね』

 そう微笑んだ優しい瞳に、私は主の祝福を見たのです」

「ひどく暑い日だったよ。
 ゆらゆら立ち昇る陽炎が奴のシャツの縞模様をぐねぐねと歪めていたのを覚えている。
 見た目は針金のような優男がバックパックを平然と担いだ上、さらに紐でくくった
 儂の大荷物を小脇に抱えて闊歩していくんだ。
 驚いたね。ジーンズをはいた足でコンパスみたいに歩いていく後ろを
 儂は苦笑しながら付いて行ったよ」

「旅人であった彼に私は尋ねた。
 君は何を探して旅をする?
 ベッドの中で彼は答えた。
 『君と同じ物を』。
 それは間違いだった。
 何故なら私は彼に出会えたのに、彼は去っていってしまったから。
 愛を求める旅路に終わりなどないのだろうか」

Wally、Wally、Wally、Wally!
もう一度、君に会いたい――――ウォーリーを、探せ。



新ウォーリーのふしぎなたび
posted by moge at 21:53 | Comment(12) | チラ裏


この記事へのコメント
  1. なつかしいなw
    Posted by at 2008年11月26日 22:14
  2. これは度肝を抜かれたわ
    Posted by at 2008年11月26日 22:18
  3. 「俺は自分の人生を精一杯生きたつもりだった。自分の存在を精一杯でかい声でアピールしてさ」

    「でも、気付いちまったんだよなぁ、俺が、いや、世界の全てが糸で結ばれててさ、なんだかんだ結局この世界をグルグル回るしかないって」

    「でも俺はそれでも良いと思ったんだ。お前と反目せざるを得ないのが俺の運命なら、それはそれで良いさ。俺は自分の役割を演じるさ。精一杯でかい音を立ててさ。何度だってお前とかち合ってやるさ。この運命の糸が切れるまで……」
                 ―――アメリカンクラッカー
    Posted by at 2008年11月26日 22:24
  4. なぜかは知らんが、私の頭の中は途中まで食いだおれ太郎のイメージでいっぱいでした
    Posted by at 2008年11月26日 22:49
  5. すげえ・・・
    Posted by at 2008年11月26日 22:51
  6. これはミステリ板に張られてもいいレベル
    Posted by at 2008年11月26日 23:38
  7. 私の頭の中にはポルノのアゲハ蝶が流れました
    Posted by at 2008年11月26日 23:49
  8. オチがくるまでわくわくさんで再生された。
    Posted by at 2008年11月27日 06:31
  9. 彼=スヌフムムリクかと思った
    Posted by at 2008年11月27日 10:27
  10. 彼=人間台風かと思った
    Posted by at 2008年11月27日 11:15
  11. 懐かしいww
    Posted by at 2008年11月27日 14:47
  12. 最後まで読み終えた後にもう一度読むと
    旅人の声が賢雄さんで聴こえたwww
    Posted by at 2008年11月27日 22:07
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