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@喪女板
21 名前: 彼氏いない歴774年 [sage] 投稿日: 2009/09/16(水) 06:53:07 ID:o4cjGo7L
私は不老不死で、ある一定の年齢(25歳くらい)で外見の変化が止まっている
長い間同じ姿形で暮らしていると怪しまれるからその都度点々として、
また新たな場所で一から暮らすことを何年も何年も繰り返している
ある時がくると友達や知人に行き先を告げず失踪、もちろんメールや
電話は繋がらず、彼らは私の存在を忘れていく
その頃、私は全てをリセットして新しい土地で新しい人間関係を築き上げ
新しい生活を送っている…だけどまた時が来ると離れ、新しい居場所を
探しに行く繰り返し
何十年か経って、ひょんなことから特に仲が良かった
友達(もうおばあちゃんになってる)が入院していると知り、会いに行くことを決める
病室を訪れると、彼女の子供夫婦や
孫達がお見舞いに来ているところで、私は彼らが去るまで待つ
やがて静けさが戻った病室に入って行くと、ベッドに横たわっていた彼女は、
かつての姿のままの私を見て驚く
「○○の…娘さん?」
「ううん、私、○○なんだ」
私は彼女に近付いて、すっかり細くなってしまった手に手を添える
「黙っていなくなって、ごめんね」
彼女は私のこの言葉で全てを理解し、驚きに強張ってた顔を穏やかに微笑ませた
「そう…そうだったの。だから何も言わずにいなくなったのね」
随分心配したんだから、と笑う彼女につられて私も笑う
それまでの彼女のこと、子供達のこと、孫達のこと、たくさんの話を聞いて
私は彼女の満ち足りた表情を見て、幸せだったんだねと思う
やがて帰る時間になって「じゃあ私行くね、お大事に」と告げると、
彼女も微笑んで「ありがとう」と言う
「さようなら」「さようなら」
そのやりとりを最後に、私はその時身を寄せている街に帰る
それきり、彼女には会うことはなく、また変わらない時間を生き続ける
などということを寝る前に感じて勝手に涙ぐんでいるからモテない
時間商人 不老不死、売ります